麗枯庵日記

50代おひとりさまマドモアゼルの麗しき日々

ミセス・ハリス、パリへ行く


2022年 イギリス
原題 : MRS. HARRIS GOES TO PARIS
原作 : ポール・ギャリコ
監督 : アンソニー・ファビアン
主演 : レスリー・マンヴィル

あらすじ

第二次世界大戦が終わって10年余が過ぎたロンドン。兵隊に行ったまま音沙汰のない夫の帰りを待つエイダは、家政婦として働いている。クライアントは、いつも違う愛人を連れている紳士や給料を払ってくれない浪費家のマダム、乱れた生活を送る女優の卵だが、親切な同僚や街の人たちに囲まれて、日々前向きに笑顔で過ごしている。
ある日、夫の戦死の報を受け落ち込むエイダは、クライアントの家でドレスと出逢う。そう、世にも美しいクリスチャン・ディオールの500ポンドのドレス。夫に導かれるようにくじが当たったエイダは、パリにドレスを買いに行くべく、仕事を増やし、節約をして、貯金を始める。そして、紆余曲折の後、夫の遺族年金が入り、パリに旅立つことになる。
パリでも夢を諦めないエイダは、やがて出会った人々の心に変化をもたらし、エイダ自身新しい一歩を踏み出すのだった。

感想

よかったところ

冒頭から映像と音楽が美しくて、物語が始まる前から号泣しました。
年々涙腺が緩くなっております。

若干短絡的で予定調和と感じるところがなかったわけではないんだけれど、小さなエピソードがしっかり伏線回収に繋がって、脚本の妙でした。

主人公がどうしてそこまでドレスに惹かれるのか理由は語られないのに、慎ましいながらお洋服やインテリアがおしゃれで、お裁縫上手なところからファッションが好きなことが自然に伝わってきました。

一見意地悪で高飛車に見えるメゾンの支配人も、本当はブランドを心から愛し、家族を愛する一人の女として描かれていたのも良かったです。

主演のレスリー・マンヴィルは御年66歳、フランスの名花イザベル・ユペールは69歳、ということで、観るまではおばあちゃんが頑張るお話し、という印象でしたが、設定や時代背景を考えると、物語の中の彼女たちは40代から50代前半なんでしょうね。
時代は違うけれど、仕事や家族のために頑張って、頑張っているのに世代交代を求められ、それでもまだ夢を諦めていない年代、丁度今の自分の身にも重なって、とても共感し、前向きな気持ちになれました。

気になったところ

時代考証がちょっと気になりました。パリの街が現代みたいに描かれていた、気がする。行ったことないけど💦
パリのゴミ問題は昔から、とは言うけど、労働者のデモシーンの字幕に最近の政治家の名前があったような、、、見間違い?気のせいかな?🤔
歴史と現在をシンクロさせる手法ってありますからねぇ、、、。

メゾンのファッションショーのモデルさん、白人、黒人、アジア系の3人だったんだけど、この時代どうだったんだろう?
もちろんモデル役の女優さんたちもドレスもとても美しくてウットリしたし、主人公の気持ちが高まる良いシーンだったんだけど、リアリティという意味では、歴史にも現在のルールを取り入れなくてはいけないとしたら、今後ファンタジーが主流になるのかなと思いました。
あるいは、リアリティを追求した社会派と物語としての娯楽作が二分化するのかも。
これからの映画についても考えさせられました。

まとめ

夢は諦めなければきっと叶う、そして、幸せは身近なところにあるんだよ、ということに改めて気付かせてもらえた気がします。

物語の面白さと、美しい映像や音楽といったディテールのバランスがとても良いウェルメイドな良品でした。観てよかった。

あとがき

実は私、映画の趣味は結構マニアックなので、折角ブログを始めて読者の方も増えてきたのに最初から引かれてもなぁ、、、と思って普段あまり観ない作品を選んだら、とても良かったです。
多い時は週に何回も映画館に通いつめたりする位なのに、その年に公開されたロードショーの映画を観るのは10年ぶり位😅

また、原作のポール・ギャリコって「猫語の教科書」の作者ですね。私の超推奨図書。
ファンタジーをリアリティとして、またはリアルをファンタジーとして描く天才だな。
ミセスハリスも原作を読んでみたくなりました。
本のお話は、またいずれ。

鑑賞日 : 2022年12月4日
於池袋HUMAXシネマズ
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